音楽家・大友良英の集大成となる大規模展

メディア・テクノロジーを用いた新たな芸術表現の探求と実践を行うアートセンター山口情報芸術センター [YCAM]にて、2026年10月17日(土)~2027年3月1日(月)まで大友良英+YCAM 新作展「即興!」が開催されます。

大友良英はフリージャズ、即興演奏、ノイズ音楽、映画音楽など国内外の多彩なシーンで活動し、常に表現の可能性とアンサンブルのあり方を拡張する試みに取り組んできた音楽家の一人です。

大友良英

テーマは「即興」

こちらの展示は大友の創作の基軸であり、アンサンブルの根底にもある「即興」をテーマに、大友とYCAM、そしてさまざまなジャンルのアーティスト5名とのコラボレーションによる新作展です。

大友良英 + 青山泰知+伊藤隆之《without records》

会場となるYCAMの広大なホワイエ(吹き抜け空間)に足を踏み入れると、1階から大階段、そして2階へと続く空間に、整然と並べられた約80台のポータブル・レコードプレイヤーが目に入ります。

かつて既製品として流通し、やがてガラクタやジャンク品として見捨てられていたプレイヤーたちが、レコードののっていないターンテーブルを回し、物理的な摩擦や接触不良、あるいは制御できないハウリングといった、個体差のある生々しいノイズを響かせています。レコードをのせずにプレイヤーから聴こえてくる音に耳を澄まし、その特徴を際立たせるためさまざまな人が制作に参加して施された加工。物理的な摩擦や接触、意図せず起こる接触不良や、制御できないハウリングが、それぞれのプレイヤー固有の音となります。この多様な響きを、青山が空間の密度や緩急の流れを計算して緻密に配置。各プレイヤーの音響特性をグループごとに制御するシステムを伊藤が構築しました。さらに大友がランダムネスを交えた即興的な時間構成を施すことで、スマートなデジタル音響とは対極にある、ザラついた物理音が奏でるアンサンブルが立ち現れます。

こちらの作品は本展示に先駆けて7月24日より、山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ、2 階ギャラリーにて展示されています。

大友良英+青山泰知+伊藤隆之《without records》(2008-2026) 撮影:中村マユ(ToLoLo studio)
大友良英+青山泰知+伊藤隆之《without records》(2008-2026) 撮影:中村マユ(ToLoLo studio)
大友良英+青山泰知+伊藤隆之《without records》(2008-2026) 撮影:中村マユ(ToLoLo studio)

大友良英+持田敦子+伊藤隆之+YCAM 新作《Dance》

空き家の解体過程に介入し、その場所にある固有の空間と時間をダイナミックに変容する作品で注目を集める美術家・持田敦子。

YCAMの劇場スペースとして設計されたスタジオAの空間に、木造住宅の解体現場から引き取られた柱や梁を組み上げた巨大な動く構造体が出現。

構造体が生み出す複雑な動きと生々しい音に、大友が構成した多数のスピーカーや無数の家電から放たれるノイズが混じり合い、変化し続ける空間と音響が一体となります。

更にこちらの生成に一般の市民の方の力が加わる予定。

大友の音楽とノイズ、持田の作品が内包する生成と瓦解の相反する要素がぶつかり合い、せめぎあい、そして響き合う、今までにない新しい空間体験が大友と持田のコラボレーションによる新作《Dance》として結実します。

新作《Dance》のコンセプトドローイング
持田敦子《Dance》制作風景 撮影:板倉勇人(YCAM)

大友良英+坂本龍一新作《 Duo 》 YCAMとのコラボレーション

YCAM内の他スペースへも視線が抜ける、外部環境と緩やかにつながった、中庭越しに外光が差し込む開放的なスタジオBに自動演奏によって即興デュオを紡ぐピアノとギターを設置。

2010 年代に坂本とともに即興演奏をおこなった際の大友の記憶と、坂本の残したピアノの打鍵データ (MIDI) から再現されるピアノの音。そして、本作のために YCAM InterLabが、大友によるギターの即興演奏の特徴を抽出し、自動演奏する装置を開発。自動演奏でありながらどこまでも「即興的」であり得る音の形を探しながら、本人たち不在のもとで、永遠に演奏を生成し続ける作品が展示されます。

新作《Duo》制作の様子(2026) 撮影:板倉勇人(YCAM)


坂本龍一 Photo by Neo Sora ©2020 KAB Inc.

Filament(Sachiko M& 大友良英)+YCAM 新作《Filaments Outside》

2008 年の「大友良英/ ENSEMBLES」展で発表された《filaments》では、閉館後の図書館を見下ろす渡り廊下から、音に耳を傾ける音響体験でした。

今回は、YCAM に隣接する山口市中央公園の芝生と、館内の機能同士を緩やかにつなぐ中庭へと舞台を移し、生活音や環境音に開かれたこれらの場所にサイン波の電子音と、物理的な仕掛けが奏でる木材や金属の音が配置され、その場で聞こえてくるさまざまな音は作品の音と響き合い、その音に呼応する光とともに、来場者一人ひとりに固有の体験を織りなし、その瞬間にしか立ち現れない音像が楽しめます。

新作《Filaments Outside》制作の様子(2026) 撮影:青山真也
新作《Filaments Outside》制作の様子(2026) 撮影:青山真也

大友良英+YCAM 新作展「即興!」

会期:2026 年10月17日(土) ~ 2027年3月1日(月)

開館時間:10:00 ~ 19:00 ※《Filaments Outside》のみ 20:00 まで

休館日:火曜日(祝日の場合は翌日、但し 9 月 23 日は開館)、9 月 24 日、年末年始( 12
月 29 日~ 1 月 3 日)

会場:山口情報芸術センター[YCAM]ホワイエ、スタジオ A、スタジオ B、2 階ギャラリー、中
庭、山口市中央公園

料金:一般 1,000 円
山口市民/ 29 歳以下 500 円
any 会員/ 18 歳以下 無料
障がい者手帳をお持ちの方と介助者 1 名 無料

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