若者を撮影した写真家は数多く存在しますが、若者という存在そのものを写真に定着させた写真家となるとその数は限られてきます。
アメリカの写真家、ジョセフ・スザボ(Joseph Szabo)は、その数少ない一人です。
スザボの写真に写っているのは、単なる若者たちの姿ではなく、学校、友人、音楽、ファッション、そして大人になることへの期待と不安。何者かになろうとしながらも、まだ何者でもない時間が彼の写真には閉じ込められています。
そのため50年以上経つ彼の作品は、ファッション、音楽、映画と様々なシーンにおいて参照され、後世にも引き継がれていっています。
今回FRAGILEに入荷した新作アートブック「AMERICAN TEEN」とともに彼をご紹介します。
教師として、若者たちの内側へ


スザボは、ニューヨーク州ロングアイランドのマリオン・ストリート高校で美術教師を務めながら、生徒たちを撮影しました。
彼の写真が特別なのは、若者たちを外側から観察するだけの視線ではないところにあります。被写体たちは格好をつけ、ふざけ、仲間と笑い合う一方で、どこか所在なさげでもあり、演出された青春の美しさとは異なる、生々しいリアリティが存在しています。
代表作『Almost Grown』は、タイトルを直訳すれば「ほとんど大人になった」という意味です。子どもでも大人でもない、境界線上にいる若者たち。彼らの服装や髪型、表情には、自分が何者であるかを他者に伝えようとする意志が表れています。自分自身の輪郭を探している、自己表現が完成する前の不安定な状態を撮影したのです。
『Priscilla』と音楽文化
スザボの作品のなかでも広く知られているのが、1969年に少女を撮影したポートレート『Priscilla』です。

この写真はDinosaur Jr.のアルバム『Green Mind』のジャケットに使用されたことで、音楽ファンのあいだでも知られるようになり、当店でも常に人気があるバンドTシャツとなっています。
轟音のギターと倦怠感を帯びたメロディーを持つDinosaur Jr.の音楽と、スザボの写真が結びついたことは興味深く、撮影された時代は異なっていても、そこには若者文化特有の不安定さや、言葉にならない感情が共通していることがわかります。
その若者の不安定さというテーマに時代は関係ないからこそ、スザボの写真はこれからの世代の人々にも影響を与えているのではないでしょうか。
青春と反抗『AMERICAN TEEN』




そして今回入荷した『AMERICAN TEEN』は、彼が長年にわたって撮影してきた若者たちの姿を未発表作品も交えてまとめた作品集です。
240ページにわたる本書には、反抗やカウンターカルチャーが息づいていた時代の空気と大人になる直前の不安定で自由な時間が刻まれています。
本書にはDinosaur Jr.のJ・マスキスにスザボの写真を紹介した話が有名なキム・ゴードンとスザボの作品に強く惹かれていたソフィア・コッポラの2人の文章が寄稿されています。
そしてソフィア・コッポラは、本書の企画・編集まで携わっています。
そんなミュージシャンから映画監督にまで影響を与え続けているスザボの代表作に未発表作品を加えて編まれた決定版ですので、是非お手に取ってみてください!





