“地球に警報を鳴らす一本のショートフィルム”
いま深刻な社会問題として常に議論されている地球温暖化に対する危機感。
特に日本では気温上昇が世界平均を上回る見込みで、このまま深刻化の一途を辿れば、2050年には東京で最高気温40度超を叩き出し、真夏日が50日以上続き、その結果、熱中症で6500人以上もの人が命を落とす危険性があると予測されている。
それだけではなく、京都の紅葉の一番の見頃がクリスマスの時期となったり、大型台風「スーパー台風」が発生する恐れがあるなどして、様々な変動を引き起こし、水不足や食料需給の減少など生活水準の低下を始め、天変地異による災害が起こるなどの可能性が懸念されている。
そういった温暖化に対する国連会議COP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)がパリで行なわれている。
それにあわせ一本のショートフィルム『La Fete (est Finie)』が公開された。
Mark DonneとJoe Morrisの二人の監督によるこの作品には、「Massive Attack」の3Dといま飛ぶ鳥を落とす勢いで人気急上昇中のスコットランド・エディンバラ発のHIP HOPトリオ「Young Fathers」がオリジナルスコアを手掛けている。3Dは監督と共に考案にも携わり、マルチな才能を発揮している。
作品はブラックユーモアに富んだもので、議会に参加する重役達を焦点に実態は偽りであり、裏の顔を持つ闇の部分を表現したシニカルな内容で、映像美で綴る風刺を喚起する作品となっている。
エンド部分には村上春樹やクーラ・シェイカーにも影響を与えた、アメリカを代表する小説家Kurt Vonnegutの言葉で締めくくられている。
彼は過去にこう名言を残している。
「神よ、願わくば私に、変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、
変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを常に見分ける知恵とを授けたまえ。」
当てはめると、自然の天候などの環境は変えられないけれども、本来、環境に順応出来る人間が、寒さや暑さに過敏になり、エアコンなどに頼りきってしまい、基本的機能が低下し順応できなくなっていることに対し、現状を理解することで、それらに対応出来る余裕をもち、不安に囚われている思考を変える前向きな行動。すなわちエコに対する姿勢を表したかの様なメッセージとして感じ取れる。まさに進化が問われるものである。