【インダストリアル・ミュージックを紡いだ二人の偉人】

昨年末、偉大なアーティストの二人が惜しまれながらこの世を去った。

Z’EV(February 8, 1951-December 16,2017)

石川忠(1966- December 21, 2017)


この二人には共通するものがあり、”インダストリアル・ミュージック”という部分において切っても切れない縁があった。まず「石川忠」といえば80年代中期に”ZEITLICH VERGELTER”(ツァイトリッヒ・ベルゲルダー)というバンドで活動していた。鉄板などの金属の廃材で組み立てたメタル・パーカッションにディスクグラインダーで火花を散らすパフォーマンスは当時の日本のバンドとして稀であった。後に解散後はソロのメタル・パーカッショニストとして活動を始め、1988年には映画監督/俳優として活動する塚本晋也による監督作品『鉄男』のサウンドトラックを手掛けた。この作品は低予算で制作されたながらも国内外で高い評価を受け、石川忠の名も一躍全世界に知れ渡った。また作品の続編が1992年と2010年に公開され、この二つの作品においても音楽を担当した。尚、2010年に公開された『鉄男 The Bullet Man』では世界的有名なインダストリアル・ロックバンドのNINE INCH NAILSも参加するなど、この作品のシリーズがいかに国際的に支持されているか伺え知れるものとなった。

その後もソロとして活動する傍ら、93年に自身が結成したバンド「DER EISENROST」(デア・アイゼンロスト)ではメタル・パーカッションを担当しワールドワイドな活躍で生前まで全力のパフォーマンスを披露し続けていた。日本を代表するインダストリアルアーティストとして登り詰めた彼は後世にも多大な影響を与え、当店が取り扱うブランド「KOMAKINO」でも彼のイメージがコレクションテーマに抜擢され、また当店主催のイベント出演が決定している東京を拠点に活動するバンド「顔がない」にもそのスタイルは受け継がれている。

そんなインダストリアル・ミュージックの草分け的存在となった石川忠と共にパイオニアの一人として挙げられるのがアメリカ出身のアーティスト「Z’EV」(ゼヴ)である。

彼もまたメタル・パーカショニストとしてその名を轟かせた。しかしながら、彼が活動するスタイルは主に芸術的なライブパフォーマンスであった。バーバラー・クルーガーやマイク・ケリー、ソフィア・コッポラなど著名的な芸術家を輩出したカリフォルニア芸術大学(CalArts)で様々な勉学を学び、そこでアーティストとしての基盤を形成した。そこから本格的に音楽活動を始め、大きな美術館から小さなギャラリー、はたまた屋外の公共スペースに至るまで幅広く積極的に主戦場を大衆の場へと据えた。

そういった活動は徐々にミュージック・シーンにも浸透し始め、後にサイキックTVを結成するジェネシス・P・オリッジのバンド”THROBBING GRISTLE”(スロッビング・グリッスル)や同じくしてメタル・パーカッションの先駆者の一人でドリルやチェーンソーなどを用いてパフォーマンスするドイツの至宝”EINSTÜRZENDE NEUBAUTEN”(アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン)、その他、Test DeptやSPKなどらと共にインダストリアル・ミュージックの創世へと一旦を担った。


その影響下には石川忠はもちろんのことNINE INCH NAILS(ナイン・インチ・ネイルズ)、MINISTRY(ミニストリー)、FEAR FACTORY(フィア・ファクトリー)、MARILYN MANSON(マリリン・マンソン)、ROB ZOMBIE(ロブ・ゾンビ)といったアメリカ勢からドイツではRAMMSTEIN(ラムシュタイン)、カナダではSKINNY PAPPY(スキニー・パピー)といった名立たるアーティストを生み出すなど多大な貢献を果たした。

インダストリアル・ミュージックと聞くと日本ではしばしば取っ付きにくいラウドな音楽としてあまり認知はされていないが、少し海を渡った向こう側では芸術的感覚でサウンドさながらパフォーマンスも楽しむといった要素で一般的にも受け入れられている。

その中で名を残した二人の偉大なアーティストは今後も世界的に語り継がれることだろう。

彼らの息吹を感じさせる現代のインダストリアルバンド「顔がない」の出演するイベント『ART OF NOISE 04』は2月10日(土)開催です。ぜひ生身でその世界を浴びる様に体感あれ!

FRAGILE (フラジャイル)
〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江2-13-24
TEL:06-6567-9570

-イベント告知-

[FRAGILE PRESENTS -ART OF NOISE 04-]

2018/2/10(SAT)
場所:environment 0g
〒550-0015 大阪市西区南堀江3-6-1 西大阪ビルB1F
出演者:SHE TALKS SILENCE/顔がない/SCA/MATER SUSPIRIA VISION(Movie)
開始時間:19:30〜
チケット(販売中):前売り¥2500/当日¥3000 (販売先:FRAGILE/enviroment 0g)

イベント詳細:https://fragile-osaka.com/blog/store-news/art-of-noise-04/


FRAGILE公式SNSページ

 

[facebook]

[instagram]

[fashion snap]

[twitter]

関連記事

  1. BACK TO COCTEAU TWINS

    2016.02.4

    BACK TO COCTEAU TWINS

    “ポストパンク/ニューウェイヴからシューゲイザーへ時代を結んだバンド”1970年代後半のイギリス…

    BACK TO COCTEAU TWINS
  2. 第2弾となる米ミュージシャン GHOSTEMANE を特集した ポップアップ を開催

    2019.07.12

    第2弾となる米ミュージシャン GHOSTEMANE を特集した ポップ…

    7月13日(土)より最新マーチャンダイズの販売を兼ね、次世代のアーティストによるクロージングが店内を…

    第2弾となる米ミュージシャン GHOSTEMANE を特集した ポップアップ を開催
  3. BODY MUSIC NIGHT

    2019.08.3

    BODY MUSIC NIGHT

    エレクトロニック・ボディ・ミュージック(E・B・M)とはベルギーのユニットFRONT242が先駆けで…

    BODY MUSIC NIGHT
  4. Ryouji Ikeda: concert pieces

    2016.10.31

    Ryouji Ikeda: concert pieces

    【池田亮司による作品が京都にて一挙公開】日本が世界に誇る現代芸術家の池田 亮司による新た…

    Ryouji Ikeda: concert pieces
  5. TOOL×ALEX GREYが魅せる神秘的で唯一無二のアート

    2021.06.22

    TOOL×ALEX GREYが魅せる神秘的で唯一無二のアート

    1990年結成、90年代プログレッシブ・メタルを代表するアメリカのバンド「TOOL(トゥール)」…

    TOOL×ALEX GREYが魅せる神秘的で唯一無二のアート
  6. RE WORK : UNKNOWN PLEASURES

    2016.10.12

    RE WORK : UNKNOWN PLEASURES

    【JOY DIVISIONのアートワークを自分流にカスタマイズ】伝説のポストパンク・バンドJOY…

    RE WORK : UNKNOWN PLEASURES
  7. アーティスト紹介:SUPPLEMENT

    2018.05.14

    アーティスト紹介:SUPPLEMENT

    【USトラップシーン期待の新星デュオ”SUPPLEMENT”(サプリメント)】THE GARDE…

    アーティスト紹介:SUPPLEMENT
  8. アーティストロゴ に秘めた真実 “NIN”編

    2017.03.21

    アーティストロゴ に秘めた真実 “NIN”編

    【アーティストロゴ を解体するシリーズ Vol.1】今年新作の発表を控えているインダストリアル・…

    アーティストロゴ に秘めた真実 “NIN”編
  9. “SONIC YOUTH” 特集 : RICHARD PRINCE (リチャード・プリンス) 編

    2016.12.5

    “SONIC YOUTH” 特集 : RICH…

    【SONIC YOUTHを再発見!PART:1 RICHARD PRINCE】昨日の記事でお…

    “SONIC YOUTH” 特集 : RICHARD PRINCE (リチャード・プリンス) 編

NEW POST

PAGE TOP