田名網敬一の初となる大規模回顧展が開催

武蔵野美術大学在学中にデザイナーとしてキャリアをスタートさせ、1975年には日本版月刊『PLAYBOY』の初代アートディレクターを務めるなど、雑誌や広告を主な舞台に日本のアンダーグラウンドなアートシーンを牽引し、Mary Quant、adidas、JUNYA WATANABE、Ground Yなどのファッションブランドや、GENERATIONS from EXILE TRIBE、八代亜紀、RADWIMPSといったミュージシャンと協働する一方で、ウルトラマンなどのキャラクターや生前交流があった赤塚不二夫とコラボレーションした作品も制作している日本人アーティスト、田名網敬一。

「パラヴェンティ:田名網 敬一」プラダ青山店にて 2023年
©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA
田名網敬一《森の掟》2024年
顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス
251×200cm
©Keiichi Tanaami / Courtesy of NANZUKA

田名網は1960年代よりデザイナーとして培った方法論、技術を駆使し、現在に至るまで絵画、コラージュ、立体作品、アニメーション、実験映像、インスタレーションなど、ジャンルや既存のルールに捉われることなく精力的に制作を続け、美術史の文脈にとって重要な爪痕を残してきました。 本展は、現代的アーティスト像のロールモデルとも呼べる田名網の60年以上にわたる創作活動に、初公開の最新作を含む膨大な作品数で迫る、初の大規模回顧展です。

「RADWIMPS WORLD TOUR 2024 “The way you yawn, and the outcry of Peace”」のためのアートワーク、2024年
シルクスクリーン、ラメ/紙
51.7×41.7 cm
《ドカーン》2022年
顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス
149×100cm
《夢の王国》2018年
顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス
140×100×4 cm

田名網は幼少期に経験した戦争の記憶とその後に触れたアメリカ大衆文化からの影響が色濃く反映された、色彩鮮やかな作品で知られています。本展は当時の資料を含めて田名網が手掛けた膨大な作品を紹介することで、これまで包括的に捉えられることがなかった、その60年以上におよぶ活動を「記憶」というテーマのもとに改めて紐解こうとするものです。

《Wonder Woman》1967年
インク、コラージュ/紙
38.5×48.5cm
《Gold Fish》1975年
アクリル絵具/イラストレーションボード
36.4×51.5cm

田名網は武蔵野美術大学デザイン科に入学後、篠原有司男、赤瀬川原平、荒川修作らと出会い、彼らの活動に最前線で触れながら、1957年に日本宣伝美術会主催の日宣美展で特選を受賞します。在学中からデザイナーとして仕事を依頼されるようになり、卒業後は博報堂に入社。2年ほどで退職した後は画廊での展示に固執せず、1966年にはアーティストとしての出発点ともいえる作品集『田名網敬一の肖像』を出版します。アンディ・ウォーホルの美術やデザインといったひとつのメディアに限定しない制作方法に大きな刺激を受け、自らを「イメージディレクター」と名乗るようになります。その後、シルクスクリーンによるポスター、コラージュやアニメーション、イラストレーションや絵画などの作品を精力的に手掛けるようになっていきました。

《フレデリック・ロイス―臓器の劇場》1987年
アクリル絵具/カンヴァス
145.5×145.5×3.6 cm
《回廊》1986年
アクリル絵具、色鉛筆/カンバスで裏打ちした紙
130.5×130.5cm

87歳となった今も旺盛な創作活動を続ける田名網の存在は、世代や国を超えたアーティスト、そしてデザイナーたちを魅了し続けており、コラボレーションを求める声は後を絶ちません。これは60年以上にわたる活動のなかで、田名網自身が常に自らの表現方法を刷新し続けてきた稀有な感性を持ったアーティストであるからだといえるでしょう。また近年、田名網は海外文化を独自に受容した戦後日本の作家としても世界的に評価が進み、ニューヨーク近代美術館(アメリカ)、ウォーカー・アート・センター(アメリカ)、シカゴ美術館(アメリカ)、M+(香港)、ハンブルガー・バーンホフ(ドイツ)にも作品が所蔵されています。

《死と再生のドラマ》2019年
顔料インク、アクリル・シルクスクリーン、ガラスの粉末、ラメ、アクリル絵具/カンヴァス
200×400cm(4幅対)


本展は多方面から注目が集まる田名網が現在まで探究を続けている、虚実が入り混じった記憶のコラージュのような作品世界を存分に体感していただける待望の機会となるでしょう。

展覧会概要

特別展「記憶の冒険 – 田名網敬一」
会期:2024年8月7日~ 2024年11月11日

休館日:毎週火曜日
会場: 国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
特設サイト: https://www.nact.jp/exhibition_special/2024/keiichitanaami/

当店では、特別展「記憶の冒険 – 田名網敬一」のフライヤーを配布しておりますので、是非こちらもお持ち帰りください。

2024年8月9日、田名網敬一さんが逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。

関連記事

  1. CARSTEN NICOLAI – bausatz noto

    2015.12.5

    CARSTEN NICOLAI – bausatz not…

    “ドイツが生んだ科学の申し子"先日、来日したOneohtrix Point Neverの東京公演…

    CARSTEN NICOLAI – bausatz noto
  2. OF & ABOUT POSTERS: THE LAWRENCE WEINER POSTER ARCHIVE (1965-2021) / LAWRENCE WEINER

    2026.01.10

    OF & ABOUT POSTERS: THE LAWRENC…

    卓越したセンスで表現されるタイポグラフィで、1960年代に勃興したコンセプチュアル・アート…

    OF & ABOUT POSTERS: THE LAWRENCE WEINER POSTER ARCHIVE (1965-2021) / LAWRENCE WEINER
  3. No Age × Brian Roettinger による限定のアートブックがリリース

    2018.12.10

    No Age × Brian Roettinger による限定のアート…

    レディオヘッドやコーネリアスもリスペクトするLAインディーロックの屋台骨”No Age”と長きにわた…

    No Age × Brian Roettinger による限定のアートブックがリリース
  4. アートブック”NEDDA AFSARI”

    2021.10.22

    アートブック”NEDDA AFSARI”

    最新のアート映像も手がける新星女性フォトグラファーLAを拠点とするイラン育ちのフォトグラフ…

    アートブック”NEDDA AFSARI”
  5. Ryuichi Sakamoto & Tin Drum | KAGAMI+

    2026.06.4

    Ryuichi Sakamoto & Tin Drum | K…

    坂本龍一の最後の4年間を費やして制作したプロジェクト坂本龍一のピアノ演奏を三次元的に捉え、…

    Ryuichi Sakamoto & Tin Drum | KAGAMI+
  6. TEXTBEAK / (K)OLLAPS NEW REMIX

    2021.12.13

    TEXTBEAK / (K)OLLAPS NEW REMIX

    (K)OLLAPSのためのMIX TAPE 第15弾"EPISODE :15"発信開始しました…

    TEXTBEAK / (K)OLLAPS NEW REMIX
  7. コラージュアーティスト Barbara Kruger (バーバラ・クルーガー)

    2019.11.28

    コラージュアーティスト Barbara Kruger (バーバラ・クル…

    Supremeの元ネタとしても知られる稀代のアーティスト出典:Barbara Kruge…

    コラージュアーティスト Barbara Kruger (バーバラ・クルーガー)
  8. HOW TO – RE/SEARCH

    2016.04.16

    HOW TO – RE/SEARCH

    【時代を切り裂いたサブカルチャーの申し子】1950年代のアメリカ、そこで一大ムーブメントが起きた…

    HOW TO – RE/SEARCH
  9. GRYPT – New Song  “TIN CAN TOMB”

    2017.10.18

    GRYPT – New Song “TIN CAN TO…

    【ダーク・エレクトロユニット “GRYPT” 新曲のクオリティーが高いと話題!?】LAを拠点に活…

    GRYPT – New Song “TIN CAN TOMB”

NEW POST

  1. 2026.06.5

    THE ANTWERP SIX
PAGE TOP