“時代の歪み、そして尖った若者”
“最も観るのが難しい、レア映画TOP26” – 第1位
“史上最高のパンク・ロック・ドキュメンタリーベスト10” – 第1位
世界に衝撃を与えたロック・ドキュメンタリー映画『THE DECLINE』(ザ・デクライン)
1980年に公開された同映画は、ペネロープ・スフィーリス監督による三部作として製作され話題を呼び、日本公開から30周年を迎えた今年に再上映されるとして再び注目されている。これもハードコア/パンクのリバイバルを予兆させているものである。
出典:THE DECLINE OF WESTERN CIVILIZATION ・ペネロープ・スフィーリス・キングレコード
一作目は70年代後半に巻き起こったパンクロックはロンドン/ニューヨークを中心にムーブメントを引き起こした。その余波はアメリカ西海岸にも行き渡りBLACK FLAGやGERMS、CIRCLE JERKS、FEAR、Xなどのバンドを産んだ。
そんなLAでの一大ムーブメントを追った一人のパンクス少年が彼らに体当たりで取材を敢行する模様も収められた、リアリティーとアグレシッブさが詰まった作品。
当時、プレミア上映されたハリウッドのシアターではキャパ3500人を超える熱狂的な観客で溢れかえり、暴動回避のため300人の機動隊が出動するなど前代未聞の上映となった。
二作目は「ザ・デクライン」から7年の歳月を経て、再びLAを舞台とした『ザ・メタルイヤーズ』として公開された。
70年代末期〜80年代初期まで続いたパンク・ロックムーブメントは様変わりし、LAの中では新たなモノが誕生した。それがLAメタルである。メイクを施した中性的な容姿のグラムロックを基盤にヘヴィメタルを搔き鳴らす。派手な見た目、派手なサウンド、そしてドラッグ&アルコールなど派手な生活は彼らのステータスであった。その当時の模様をPOISONやKISS、AEROSMITH、MOTORHEAD、OZZY OSBOURNEなどが語っている。
三作目は「ザ・メタルイヤーズ」から10年の時を経て、がらりと変わったLAシーンは一体どうなったのか?第一作を捉えたハードコア/パンクの現在の姿に迫った90’sシーンを紐解いた作品。当時、熱狂していたパンクスの現在と未来、社会から完全に孤立を強いられた路上生活を送るガター・パンクスの生き様など生々しい現状に迫っている。
いずれもアンダーグランドから巻き起こったカルチャー。若者のエネルギーが社会に中指を突き立て既存のイメージを打ち崩した。いつの時代でも変革は重要である。そして、それは若者の変化を恐れない勇気から来るものである。一作品が再び魂を躍動させる。