【衝動に駆られた奇跡のバイブル】
1977年、その年は一つの歴史において分岐点となった。
70年代半ば、当時のイギリスの社会体制や情勢に不満をもった若き連中らによって”パンク・ロック”というものが世に放たれた。
[パンクの頂点三重奏]
代表するバンドとしてSEX PISTOLS、THE CLASH、THE DAMNEDは世界3大パンクバンド(ロンドン3大パンク)と呼ばれ、パンクの歴史を紐解くにあたり欠かせないバンドとなりました。
パンクの歴史を築くこととなった上述のバンド達の礎となったのが、ニューヨーク・パンクと呼ばれた先駆け達。
[個性を主張し合ったオリジネイター]
THE VELVET UNDERGROUNDやTHE STOOGES、PATTI SMITH、NEW YORK DOLLS、RAMONES、BLONDIEなどいまや大御所となった人達が名を連ねる。
[一気に燃え尽きたパンクシーン]
かくしてニューヨーク・パンク〜ロンドン・パンクへと受け継がれましたが、77年にロンドン・パンクが終息へと向かい、その流れはポストパンク/ニュー・ウェイヴ〜ハードコア・パンクへと移行。わずかな期間で大きなムーブメントを引き起こした初期パンクは短命ながらも強烈なインパクトでミュージックシーンのみならず、ファッションシーンやアートシーンなどにも影響を与え、後世代にわたり前衛的な人達を輩出する道標となりました。
[歴史を後世に伝える新たな媒体]
そう言った背景を当時から一番近い距離で紐解き、世に伝えようとしていたのが、以前に紹介したRE/SEARCHマガジンを手掛けるV.VALEであります。
彼が長きに渡り出版しているZINEの一つ『PUNK ’77』のサードエディションが入荷しましたのでピックアップ。
サンフランシスコのパンクシーンに焦点をおいたこの一冊は、サンフランシスコパンクを代表するTHE NUNSやCRIME、THE AVENGERSを中心にSEX PISTOLSやDEBBIE HARRY、THE DAMNED、RAMONES、GERMSなどのパンクレジェンド達の貴重なライブショットも収められた、いまではネットで検索しても出て来ないワンショットが垣間見れます。
昨今のミュージックシーン、ファッションシーンにおいて”パンク”の流れが復活しつつあるので、テキストブックとしてこの一冊は外せないでしょう。
根っからのパンクフリークもこれからの世代の人達も知るべき情報がここにありますのでぜひこの機会にいかがでしょうか?店頭にて絶賛販売中です!
[THE NUNS]
1975年、サンフランシスコを拠点に活動をスタート。キーボード/ヴォーカリストのジェニファー・ミロは美しい美貌でモデルもこなし、それ故”西海岸パンクの女王”として崇められました。西海岸パンクの先駆者の一バンドと知られるTHE NUNSはSEX PISTOLSのラストライブで共演を果たした逸話をもち、知る人ぞ知るバンドとして名を残しました。
79年に一度解散した後、ジェニファーはモデル業と映画出演のアクターもこなし、脚本にも携わるなどマルチな活躍を果たしました。幾度かその後も再結成するも、54歳という若さでジェニファーはこの世を去り、バンドはその名を歴史に刻み込みました。
[CRIME]
1976年、サンフランシスコにて結成。警察官のルックスやルードでハードボイルドな出で立ちを武器に多くのパンクス達に影響を与えたバンド。CRIME=犯罪と名付けたバンド名はまさにパンクを象徴したものでアグレシッブな活動は僅か6年で終わり、LAパンクの伝説として語り継がれました。2006年に再結成を果たし、いまでは地道に活動をしている模様。
[THE AVENGERS]
1977年、サンフランシスコで結成。THE NUNS同様、SEX PISTOLSのラストライヴで前座を務め大役を果たしたバンドとしても知られています。その後、SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズに気に入られ楽曲をプロデュースしてもらうなど太鼓判を押されたバンドでありましたが、メンバーの脱退により僅か2年で解散。2004年に再結成し現在も活動中。紅一点だが男勝りのシンガー、ペネロペ・ヒューストンはバンド解散後、シンガーソングライターとして活躍するなどパンクシンガーとは思えない変貌ぶりで活躍中。