70年にもわたる長いキャリアの中で、インスタレーション、彫刻、ドローイング、ペインティングなど多様な手法を用いた作品を発表し、20世紀を代表する最も重要なアーティストの一人として今もなお影響を与え続けているLouise Bourgeois(ルイーズ・ブルジョワ)
現在日本では27年ぶり、また彼女の日本国内最大規模の個展が森美術館で行われており、非常に多くの人の注目を集めている。
彼女は1911年にパリにて、タペストリー専門の商業画廊と修復アトリエを所有する両親の元に生まれた。父親は専制君主的で、子供たちの家庭教師と不倫し、母親はそれを知りながら抵抗せず早逝するという経験は生涯を通してのトラウマとなり、彼女がアーティストを志すきっかけ、作品のインスピレーション源となった。
アーティストとしてのキャリアを志し、フェルナン・レジェやポール・コリン、アンドレ・ローテなどの当時の巨匠の元でテクニックを学んだ後にニューヨークに移り住み、抽象画を広めた「AAA(アメリカン・アブストラクト・アーティスト・グループ)」への参加、ジャクソン・ポロックやウィレム・デ・クーニング、マーク・ロスコなど、抽象主義の代表的なアーティストなどとの親交を深め、彼女自身の作品の表現の幅を広げていった。
幼少期に感じた父親へのトラウマ、嫌悪感などを作品のインスピレーション源に、死や無意識、セクシュアリティやジェンダー、体をモチーフとした彫刻は現在のフェミニズムの文脈からも支持を集めている。
クリエイションの面だけでなく、パリの巨匠たちとの生活の中でブルジョワが強く感じた家父長制的な芸術界への嫌悪から、女性アーティストの芸術界の地位の向上の活動にも積極的に取り組んでいる。フォトモンタージュなどで知られるアメリカのフェミニストアーティスト アニタ・ステッケルが設立した芸術組織「The Fight Censorship Group」への参加など、彼女の活動家側面も重要である。
FRAGILEでは、2023年11月から2024年4月まで「ニューサウスウェールズ州立美術館(Art Gallery of New South Wales)」で開催された、ルイーズにとってオーストラリアにおける過去最大規模の展覧会に伴い刊行されたアートブックが入荷いたしました。
本展示は、1940年代に人物を象った忘れ難き彫刻作品から、1990年代、2000年代に制作された強靭かつ繊細なテキスタイル作品まで、非凡なほどに広範で強烈な芸術表現が紹介された。また、二部屋の対照的な展示スペースを用いたドラマチックな演出を通じて、作者を探求へと駆らせたその心理的な均衡も初めて注目されている。
美術館北館地下2階の光あふれる「日」の部屋から、さらに階下の「タンク(Tank)」に設置された暗闇の「夜」の部屋まで、オーストラリアでは初公開となるものを多く含めた120点以上もの作品を展覧。
ニューヨークの「イーストン財団(Easton Foundation)」との密な協力のもとに実現した本展は、国外の女性アーティストに捧げられた展覧会として、オーストラリアでも最大規模のものを誇った。
本質をとらえた水彩画から大規模な彫刻作品まで、70年間のキャリアの中で生まれた120点以上もの作品が並ぶ。その長きにわたる芸術人生を特徴づけた、幾度となく訪れた峠、そこから創作される作品群が持つ危機的な感覚が訴えかけてくる一冊に仕上がっている。図版をふんだんに用い、キュレーターや作家陣による、作者の活動に対する重要な見解や個人的な洞察を著したテキストを収録。
Louise Bourgeoisのアートブックは現在FRAGILEにて絶賛発売中です!
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