“ニュー・メタルを築いた活けるレジェンド”

90年代グランジ/オルタナティブミュージックムーブメントが巻き起こった背景の裏側にもう一つ誕生したのがニュー・メタルである。ラップメタルやミクスチャーという様な呼び方も度々される。

80年代のメタルブームを経由して進化したニュー・メタルは先駆けたグランジ/オルタナティブの影響とヒップホップやエレクトロミュージックなど多彩なジャンルにヘヴィメタルやスラッシュメタルを織り交ぜたサウンドで90年代に新たなジャンルを産み出した。

その中でひと際、異才を放ったバンドが産声をあげた。それが『KORN』(コーン)である。

バンド結成は1989年カリフォルニアにてギターのジェームズ“マンキー”シェイファー、ベースのフィールディ、ドラムのデイヴィッド・シルヴェリアの三人が前身となるバンドL.A.P.D.を結成。後にヴォーカルのジョナサン・デイヴィス、ブライアン”ヘッド”ウェルチが加入。バンド名をKORNに改名し活動を始めた。

1994年にセルフタイトルで待望のデビューアルバムを果たした。昨年にリリースから20年を迎え、セットリストを中心とした再現ツアーを敢行するなど話題となった。先頃に行なわれたOZZFEST JAPAN 2015で目の当たりした方も多いはず。

korn
出典:KORN・KORN・EPIC RECORDS

冒頭を飾る曲”Blind”はバンドを代表する曲となった。ドラムの甲高く弾くシンバルにギターの不協和音が絡み、ザクザクとしたギターリフからジョナサンの吐き出すかの様な掛け声と共に狂気と怒りに満ちた重低音のパレードが幕を開ける。一気にカオスが繰り広げられる中に強弱をつけたジョナサンのヴォーカルが踊り回り狂喜乱舞とかす。そこには、ジョナサンが過去に経験した虐待やいじめなどに対する怒りがあった。終始アルバムでは怒りや憎しみといったものが彼らのエネルギー源となっている。同アルバムは口コミだけで70万枚以上のセールスとなり彼らの名前を知れ渡らせた。

korn出典:Life Is Peachy・KORN・SONY MUSIC

96年には2ndアルバム「Life Is Peachy」をリリース。4ヶ月という短い期間で制作された今作は前作同様ラウドなサウンドに皮肉を交え”Twist”や”A.D.I.D.A.S.”、Ice Cubeのカバー”Wicked”など変幻自在のサウンドに取り込み、以降のバンドの形を形成するものとなった。

出典:KORN・Follow the Leader・SONY MUSIC

そして98年に3rdアルバム「Follow The Leader」を発表。ファンの間では低評価とされているがセールスに至っては最高を叩き出した。それまでのラウド路線からポップ要素を取り入れた、新たな試みで”Freak on a Leash”、”Got the Life”といった名曲を生んだ。人気絶頂を迎えたバンドは同年、自身らが主宰する大型フェス「Family Values Tour」を開催。Limp BizkitやIncubus、Rammstein、Ice Cubeなどボーダレスにアーティスト達と共演を果たし成功に導いた。不定期ながらも2013年まで行なわれている。

勢いに乗るバンドはフジロックフェスティバルにて待望の初来日で衝撃的なライブを繰り広げ日本のファンの声にも応えた。

korn
出典:KORN・Issues・SONY MUSIC

翌年、99年には4thアルバム「Issues」をリリース。険悪なダークさが再び回帰したかの様なヘヴィさで前作に続き全米1位を獲得した。特に”Falling Away from Me”や”Somebody Someone”は破壊力抜群である。”Make Me Bad”のPVはSFホラー映画の様な仕上がりとなっており、この辺りからアート要素を含めたヴィジュアルの魅せ方にもこだわり始めた。

ここまで、90年代を一気に駆け上がったバンドは他の追撃をも許さないもので不動の人気を誇った。

2000年に入り、オリジナルメンバーのヘッドとディヴィッドが相次いで脱退するなどバンド存続が危ぶまれたものの、なんとか残されたメンバーで継続を続けコンスタントにアルバムをリリースした。

原点回帰を記した2010年リリースの「Korn III : Remember Who You Are」や、翌2011年にリリースした「The Path of Totality」ではSkrillexなどダブステップ勢とコラボレーションした異色のアルバムとなり、新時代のリスナーに向けた新たなラウドの取り組み方としてアピールした。2013年にリリースした最新作「The Paradigm Shift」では約10年ぶりにヘッドが復活したことで本来の凄みと厚みを取り戻した。

年数を重ねるに連れて新しいスタイルを追求するバンドは、他に類を見ない形で進化を遂げている。Oneohtrix Point NeverやKronなど他ジャンルのアーティスト達にもリスペクトされているほどである。

なんといっても死体洗いの仕事からカリスマと呼ばれるまでとなったジョナサンのスタイルが人を惹き付ける異様な魅力を持っている。

初期はドレッドヘアにアディダスのトラックスーツに身を包んでいた。アディダスからの衣装提供もあり”A.D.I.D.A.S.”の楽曲は誕生した。

途中からはPUMAのジャージに切り替わった。そしていまや定着したアイルランドの伝統衣装であるキルトスタイルとなり、バグパイプでのライブ演奏を取り込んだ。中期にはエイリアンの生みの親であるH.R.ギーガーの特注マイクスタンドを用いるなど何かと話題を呼んでいた。

バンドの傍ら、J DEVIL名義でダブステップDJの活動やKILLBOT名義でEDMプロジェクトとしてDIM MAK RECORDSよりアルバムをリリースするなど、他ジャンルにわたりバイタリティーに溢れた行動力をみせている。

そういったマルチなセンスでバンドのイメージを染め上げたジョナサンは、いつしか一目置かれる存在となった。

KORNはラウドロックの土台を築き、ただ激しく重苦しいイメージだけではなく芸術的な視点をも落とし込み、ラウドとアートを結びつけた唯一無二のスタイルを誇った。後世にその名を残すことは間違いないバンドである。

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