1960年代前半、リトアニア系アメリカ人のデザイナー兼建築家であるジョージ・マチューナスを主導に、欧米中心にヨーロッパ各地で展開された前衛芸術運動『FLUXUS(フルクサス)』
ナムジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイス、ヴォルフ・フォステル、オノ・ヨーコ、久保田成子らが挙げられ、日本からは他にも一柳慧、刀根康尚、塩見允枝子など9名が参加しており、国籍問わない集団の形をとっている。
1960年代からFLUXUSが行ってきたコンセプチュアルアートや即興パフォーマンスなどのアヴァンギャルドな表現方法は、現在も多大な影響を与えており、当店のBLOGでもご紹介した金沢21世紀美術館にて行われた企画展「コレクション展2:電気-音 」では、FLUXUSのメンバー塩見允枝子の作品《イヴェント小品集》が現在展示され、大きな反響を得ている。
現在のアートシーンでも多大な影響を与えているフルクサスですが、彼らの活動や作品を記した書籍は数少なく、過去に出版された書籍の多くは高価で取引されている。
そして今回新たにFLUXUSにフォーカスした新作アートブックがFRAGILEに入荷致しました!
SENSE SOUND SOUND SENSE – FLUXUS MUSIC, SCORES & RECORDS
サウンドを通して「フルクサス」の世界的遺産を紹介する一冊。本書は2019年9月から2020年1月までロンドンの「ホワイトチャペル・ギャラリー(Whitechapel Gallery)」で開催された展覧会に伴い刊行された。
グランドピアノを使って音を生むにはどうすれば良いのだろう。ピアノの蓋を開き、木製のブロックを楽器の内側に並べ、一つが倒れて雑音が出るようにするのか、それとも鍵盤の上に乾燥した豆を落とすのか。「フルクサス」のコンセプチュアル・アーティストであるジョージ・ブレヒト(George Brecht)は、代表作の一つである「Incidental Music」において、一度に何人かの人々がピアノと触れ合う方法を実演するように仲間のアーティスト等に伝えた。
「フルクサス」の活動は1960年代、日常的な素材を使い実験的な「ハプニング」を演出するアーティスト、ミュージシャン、パフォーマーたちの国際的なネットワークとして世に現れた。反アカデミックであり、平凡であり、全ての人に開かれた創造性というものに向けた立場を共有していた。
ジョン・ケージ(John Cage)、フィリップ・コーナー(Philip Corner)、ディック・ヒギンズ(Dick Higgins)、アリソン・ノウルズ(Alison Knowles)、ジョージ・マチューナス(George Maciunas)、クレス・オルデンバーグ(Claes Oldenburg)、オノ・ヨーコを含む、「フルクサス」の音楽やサウンドアーティストたちの興味の対象を、パフォーマンス、楽譜、レコード、そして「ルイージ・ボノット・コレクション(Luigi Bonotto Collection)」品を介して掘り下げる。アーティスト陣による公開イベントは、従来の音楽の形式と内容を再考するものであり、楽譜へのアプローチも同様に画期的であった。伝統的な楽譜の代わりに、グラフィック、詩、ビジュアル・アートに基づいた記譜システムを考案したのである。
FLUXUS ART FOR ALL, ITALIAN EDITIONS OF THE LUIGI BONOTTO COLLECTION
「フルクサス」の運動においてイタリアの大きな役割について綿密に分析した一冊。本書は2022年11月から2023年4月までミラノの「20世紀博物館 (MUSEO DEL NOVECENTO)」で、「フルクサス」のコレクションを多数所有する「ボノット財団(Fondazione Bonotto)」との協力のもと開催された展覧会に伴い刊行された。
1950年代後半に現れ、勢いが盛んになった「フルクサス」。エディトリアル、オブジェ、グラフィックフォルダー、マルチプルとして制作されたアーティストブックから成る「エディション」制作、そしてそれらがこの前衛運動の拡がりにおいてイタリアで果たした重要な役割を掘り下げる。この作品群は、ヨーゼフ・ボイス(Joseph Beuys)、ジョージ・ブレヒト(George Brecht)、アラン・カプロー(Allan Kaprow)、ナム・ジュン・パイク(Nam June Paik)、ディーター・ロス(Dieter Roth)ら運動の中心人物によって制作されたものである。安価で制作でき、手軽に配布することができるため、数々の作品がより幅広く大衆の手にも届き、それゆえに芸術を民主化し社会変革と結びつけるという「フルクサス」の目標に貢献した。伝統的な慣わしが失われつつあったこの時代のイタリアで生まれた文化的ないし芸術的な雰囲気に導かれ、「フルクサス」はじきに芸術的コラボレーションの指針となったのだ。
A MYCOLOGICAL FORAY by John Cage
「キノコに熱中することによって、音楽についてより多くを学ぶことができるという結論に至った。」- ジョン・ケージ
アメリカ出身の音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家であるジョン・ケージ(John Cage)。ジョン・ケージがFLUXUSに与えた影響は大きく、彼がニュースクールで教えていた生徒の中には一柳慧も在籍していた。本書『A MYCOLOGICAL FORAY(真菌類学への介入)』は、作者の特異体質的な心の奥底に存在する、キノコで覆われた風景へと見る者を惹きつける。2冊組のうち1冊には、作者がキノコを探究している様子や、その間に出会った様々な種類の植物や真菌類の写真や文章を掲載。1983年に公演された『MUSHROOMS et Variationes』の完全版スクリプトも収録している。加えて、ファイルのような形をした『MUSHROOM BOOK(キノコの本)』は、1972年に作者が制作したポートフォリオを初めて複製したものである。アメリカ人イラストレーターであり同じく菌類を研究していたロイス・ロング(Lois Long)によるイラストと、アメリカ人植物学者のアレクサンダー・H・スミス(Alexander H. Smith)による解説を含む。本作は「JOHN CAGE TRUST」による協力のもと刊行された。
GHOSTEMANEやSONIC YOUTHのTHURSTON MOOREなど、世界的に活躍するミュージシャンやアーティストから支持を得る(K)OLLAPSのHAT PROJECTより限定リリースされた”FLUXUS”のキャップも少量ですが御座いますので、こちらもチェックしてみてください!
貴重なFLUXUSとジョン・ケージのアートブックは現在FRAGILEにて絶賛発売中です!今現在も多くのアーティストを魅了し、影響を与え続けている彼らの世界を是非お楽しみください!