孤高に生きた伝説のバンド
伝説のバンドとして語り継がれ、世代を超えいまも尚多くの影響を与え続ける『JOY DIVISION』(ジョイ・ディヴィジョン)
1976年に結成され、もし存続していれば今年で40周年を迎えていたはず…ヴォーカリストのイアン・カーティスが他界して今年で36年が絶つ。わずか23歳の若さでの死であった。彼の半生を綴ったアントン・コービンの作品「CONTROL」で垣間見れるので、まだ見られていない方はぜひ観て頂きたい。
イアンの死後、バンドはJOY DIVISIONとしての活動を終了させた。そして残ったメンバーで新たに「NEW ORDER」(ニュー・オーダー)を結成し、商業的にも大成功を収め、全世界にその名を知れ渡らせたのは周知の通り。昨年、10年振りにアルバムをリリースしたことでも話題となった。しかし、残念ながらJOY DIVISIONから共にしたメンバーのピーター・フックは参加せず、事実上脱退となった。
JOY DIVISIONのサウンドはとても暗く、心の隙間に入ってくる様な憂鬱な音を奏でる。しかし、時折とても美しい表情を馳せる。まるで厚い雨雲から見える一筋の日の光の様に。
それはイアンの心情から溢れ出る感情的な歌詞とソングライティングを主に手掛けるバーナード・サムナー(通称:バーニー)によるサウンド、そしてピーター・フック(通称:フッキー)のベースラインとスティーブ・モリスの正確無比なドラムパフォーマンス、全てがバランス良く調和している。
バンドはバーニーとフッキー、バンド初期のマネージャーであったテリー・メイソンが中学校で出会ったのが始まりである。
工場地帯で労働者階級が多く住む町サルフォード出身であった彼らは当時の生活に嫌気がさし、燻っていた気持ちをバンドという形で表現した。JOY DIVISIONの音楽はバーニーの生い立ちが大きく関係している。脳性麻痺の母親のもとで育った彼の壮絶な人生を送る日々の中で誕生した。地域のコミュニティーから差別、迫害をうけ、家族との衝突で絶望を抱き、不良の道を歩んだ。その行く道で彼は成功へと導びくきっかけを掴んだ。昨年、秋に出版された自伝「ニューオーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく」にて語られているのでJOY DIVISIONの真実と真相を知るならそちらもぜひご覧頂きたい。
彼らがリリースした1stアルバム「UNKNOWN PLEASURES」(アンノウン・プレジャーズ)は絶賛され、数々のメディアがこぞって高く評価した。
デザインを担当したピーター・サヴィルはこれが弾みとなり後にグラフィックアート界の人間国宝として名を挙げたほどでもある。NEW ORDERのアルバムデザインも彼が手掛けている。
いまもなお売れ続けている1stアルバムはポストパンクの礎を築いた。音楽業界のみならずファッション業界、アート業界にも影響を及ぼし、本国イギリスでは知らない人がいないぐらい有名なバンドである。デヴィッド・ボウイに匹敵するぐらいである。
日本ではUNKNOWN PLEASURESのデザインだけが独り立ちして、JOY DIVISIONの本質が置き去りになっている様な気がする。
少しでもJOY DIVISIONを理解していただければ、多くのカルチャーが紐解ける。サブカルチャーを求める声が減ってきているこのご時世だからこそカルチャーと共に生きた彼らをオススメしたい。