映画監督、舞台デザイン、衣装デザイン、詩人、画家、彫刻家、庭師など様々な分野で実験的な作品を作り、同性愛者の権利と戦い続けたイギリス出身の現代アーティスト「Derek Jarman(デレク・ジャーマン)」
The Smiths、Pet Shop Boys、Psychic TV、Coilなどの実験的なミュージシャンのMVを製作しており、音楽ファンの中でも伝説的存在のアーティストである。
彼は美術学校を卒業後にフレデリック・アシュトンと担当した『ジャズ・カレンダー』やケン・ラッセルと担当した『ザ・レイクス・プログレス』を含む舞台のセットと衣装デザインを手がけ、その後映画監督としてデビュー。
Sex Pistols誕生の聖地であるヴィヴィアン・ウエストウッドとマルコム・マクラーレンが立ち上げたブティック「SEX」のスタッフであるジョーダンが主演で登場し、他にもアダム・アントやスリッツ、スージー・スーなど当時のロンドンパンクの著名人たちがカメオ出演したデレク・ジャーマンの監督作「ジュビリー」でカルト的な人気を獲得し、その後の監督作品「カラヴァッジョ」ではベルリン国際映画祭でシルバーベアを受賞。
スーパー8MMフィルムでの撮影や多重露光を用いた前衛的な映像スタイルは非常にスタイリッシュであり、当時のミュージシャンやクリエイターはもちろん現在のアーティストたちからのリスペクトも厚く、没後30年たった今でも彼の関連書籍が復刊されるほどだ。
映像だけでなく、DEAD SOULSやQUEERといったペインティングシリーズや木や骨などを用いたオブジェ、コラージュなど彼の表現方法は様々。



その中でも晩年の彼の活動で注目したいのは造園である。イギリスの海辺の町、ダンジェネスにある量子の小屋を買い取り、「プロスペクト・コテージ」と名付け、HIV感染で死と隣合わせの中、ここで草花を育て暮らしていた。
ティルダ・スウィントンが出演しているデレク・ジャーマン監督作品「ザ・ガーデン」もこのプロスペクト・コテージで撮影されている。
この土地は彼が亡くなった後もパートナーによって維持され、現在もクラウドファンディングによって保存されている。



時代を先駆けて新たな表現方法を追求し続けた彼のアートブックがFRAGILEに入荷いたしました。

2021年9月から12月にかけてフランス・イヴリー=シュル=セーヌの「イヴリー現代美術センター – クレダック(LCentre d’art contemporain d’Ivry – le Crédac)」で開催された展覧会「Dead Souls Whisper (1986–1993)」に伴い刊行されました。
本書は数々の作品群の紹介に加え、美術批評家や研究者が、1994年にエイズ合併症でこの世を去った作者の人生や作品、加えてあまり知られていなかった側面について書き下ろしたエッセイを収録。本書は、20世紀後半において文化的に活動した人物の中でも伝説とも言える作者に関する概説書です。


デレクジャーマンの貴重なアートブックは現在FRAGILEの店頭にて絶賛発売中です。
常に実験的な作品を世に発信し続けた彼の作品を是非手に取ってご覧ください。