インスタレーション、オブジェクト、ビデオ・アートなど多岐に渡る手段を用い、大衆文化への痛烈な批判や抵抗、思春期特有の陰鬱とした感情を表現し、今やアメリカを代表する現代芸術家Mike Kelley(マイク・ケリー)
現代アーティストPaul McCarthy(ポール・マッカーシー)とのコラボレーションや、supremeなどのファッションブランドとのコラボレーション、ソニックユースのアルバム『Dirty』のジャケットに彼の代表作「Ahh…Youth」の一部が使用されたことでも知られるアーティストである。
ケリーは少年時代からイギーポップ率いるストゥージズなどのパンクロックに熱中し、自ら「デストロイ・オール・モンスターズ」というノイズバンドを結成するほど音楽に影響を受けている。彼の大衆文化に対する批判的な姿勢は少年時代に傾倒した音楽から非常に影響を受けていると言えるだろう。
その後ケリーは1976年にミシガン大学を卒業し、ロサンゼルスに移住。1978年にはカリフォルニア芸術大学で美術学修士号を取得している。カリフォルニア芸術大学に在学中のケリーは、ドローイングやペインティング、彫刻にパフォーマンスなどで詩的感覚溢れる作品を制作。卒業後には彼が有名になるきっかけとなった廃材や中古ショップ、フリーマーケットから材料を集めて製作するスタイルを始め、1987年には彼の代表作とも言える「 More Love Hours Than Can Ever Be Repaid and The Wages of Sin(返済できないほどの愛の時間)」の製作を開始した。キャンバスに自作のぬいぐるみなどをコラージュし、作り上げた作品はまるで思春期の精神状態を移し出したかのようである。この作品は後年のsupremeとのコラボレーション時にも使用されたアートワークである。
その後も数々の作品を発表し続けたケリーだが、2012年に自宅で自殺しているのが発見された。ロサンゼルスのハイランドパークにあるスタジオ近くの空地にケリーの追悼碑が建てられる事となり、supremeはマイク・ケリーにオマージュを捧げてコラボレーションを行った。
そんなマイク・ケリーの作品集『TIMELESS PAINTING』が入荷致しました。
2019年から2020年にNYの「Hauser & Wirth」で開催された展覧会に伴い刊行された。本書は、コンセプチュアルなメディアとしての絵画への影響力のある作者のユニークなアプローチを探っている。本展覧会のキュレーター、ジェネル・ポーター(Jenelle Porter)が編集と序文を担当し、1994年から2009年の間に制作された12シリーズのペインティング作品と、ポーターが依頼した多くのアーティスト陣によるケリー作品に対し寄稿している。個人的な逸話から美術史的な分析まで、またチェント(寄せ集め詩文)や手紙のような頌歌まで、さまざな形での文章が用いられている。寄稿した作家陣は画家として、そしてより広い意味での「アーティスト」として、作者の作品における取り組みが見せる永続的な妥当性を考察している。
昨今サスティナブルな取り組みが注目され始め、様々な企業が取り組み始めている中、80年代から大量生産について批判的な姿勢を作品に昇華してきた彼の作品は現在も重要な存在です。
当店でもプッシュし続けているポール・マッカーシーやソニックユースともコラボレーションしている彼の新たな側面をお楽しみください。
こちらはごく少数の入荷となっておりますので、売り切れの際はご了承ください。
『TIMELESS PAINTING』はFRAGILEにて絶賛発売中です。
ぜひこの機会にお手に取ってみてください。