【孤高のブランド”KOMAKINO”が伝えるリアルカルチャー】
ロンドンを拠点に展開するブランド「KOMAKINO」(コマキノ)は、デザイナー自身が影響を受けたものを服作りへと活かし、流行に流されないこだわりを一貫している。
毎シーズン、アンダーグラウンドなミュージックシーンからのインスピレーションをもとに、それらのバックグラウンドまでを掘り下げ、政治や社会に対する思想をデザインに反映している。
今季はイタリアの現代音楽家/ノイズミュージシャンの巨匠二人とイギリスのアーティストによる作品からデザインにフィードバックさせている。
まず、最初に触れて行くのは今季のテーマの基盤となっているイタリアのミュージシャン。
Atrax Morgue(アトラックス・モルグ)ことMarco Corbelliは、イタリアのノイズミュージック界でその名を馳せた気鋭のアーティストとして知られた。
惜しくも、2007年に37歳という若さで自殺を図り、この世を去った若き天才は孤高の道を歩み続けた。1992年に22歳で自身のレーベルSlaughter Productionsを立ち上げ、そこから多数の作品をリリースしている。その多くは死に対する興味と関心をもとに制作された楽曲で生前より死への探求を音楽へと昇華していた。
2008年にリリースされた遺作となった作品『M.Plus T.』では、イタリアが誇るノイズ界のパイオニアM.B.ことMaurizio Bianci(マウリツィオ・ビアンキ)と共同で作られた合作となり、本来のノイズは鳴りを潜め、実験的な音響の空間を広げたアンビエンスなアプローチで作品を通してノイズ進化論を唱えた。後にAtraxが残していた音源やM.B.の作品はイタリアの名門ノイズレーベルUrashimaよりリリースされている。
その生前最後にコラボレーションしたM.B.もまたKOMAKINOがテーマにしている一人である。
彼は今年63歳を迎えながらも現役で活動しており、度々作品をリリースしている。
70年代後半からアーティストとしての活動を本格化し、音源の制作、リリース他、映像作品も手掛けるなど多岐にわたる。初期にはノイズというカテゴリーを形成させた作風でその後のシーン拡大へ一端を担った。
イタリア出身の二人の巨匠は出会うべくして出会い、またイタリア生まれのKOMAKINOのデザイナーであるFedreico Capallboがそれに共鳴したのも必然的であった。
また、今季コレクションにて展開されているフーディーのデザインソースとなっているのがIan Johnstone(イアン・ジョンストーン)というイギリス出身のアーティストである。
彼は元サイキックTVのメンバーであったピーター・クリストファーソンとジョン・バランスの二人が立ち上げたイギリスのインダストリアル/エクスペリメンタル・ミュージックグループ「COIL」(コイル)のアートワークや衣装を手掛けたほか、養蜂家としての顔をも持つ人物で、知る人ぞ知る存在のアーティストであったが47歳でこの世を去った。
彼からのインスピレーションによりフーディーのデザインには”Sarcophagidae”(ニクバエ/ハエの一種)のアートワークがデザインされており、リバーシブルな仕上がりとなっている。
ここまでコアな背景をデザインに落とし込んだKOMAKINOというブランドは、もはや衣服という機能を超越した美術作品に近い感覚を宿している。
ただ単にデザインの格好良さだけではなく、そこから伝わるヒストリーは着る者に知性と個性を与え、多様化するファッションに対するアンチテーゼさえも感じさせる。
真のカルチャーは真のファッションを紡ぐ。今季コレクションは只今、店頭およびオンラインストアにて絶賛販売中!
[ONLINE STORE]
KOMAKINO AUTUMN/WINTER 2018詳細はコチラより。