【ヒストリー・オブ・テレヴィジョン】

1970年代のアメリカ・ロックシーン。60年代後半に誕生したニューヨーク・パンクは脈々とその時代にも影響を与え、ついに爆発的なムーブメントを巻き起しました。

パンクのゴッドファーザーと称されるイギー・ポップ率いるTHE STOOGES、実験的な音楽性でいまも尚、絶大な支持を受けているTHE VELVET UNDERGROUND、ラディカルな姿勢で真のパンク・アティテュードを貫いたMC5、派手なメイクと衣装でグラム・ロックの礎を築いたNEW YORK DOLLS、そういった独自の異彩を放ったミュージシャン達が追い風となり、後のニューヨーク・パンクムーブメントを引き起こすきっかけとなりました。

その中で最も名前が知れ渡ったRAMONESを筆頭に、BLONDIEやパティ・スミス、HEARTBREAKERS、THE VOIDOIDS、、SUICIDE、TALKING HEADSなど挙げればキリがないほど個性豊かなバンドを生み出しました。

そういったレベルの高いシーンにおいて、ひと際、文学的な香りを漂わせ、パンクのもつ荒々しいイメージを一切持たない異色のバンドが現れました。

[4人の若者が結成した文学系パンクバンド]

「TELEVISION」(テレヴィジョン)
1973年にニューヨークにて結成。前年に学生からの友人であったトム・ヴァーレイン(Vo./Gt.)、ビリー・フィッカ(Dr.)、リチャード・ヘル(Vo./Ba.)の3人で前身となるバンド「ネオン・ボーイズ」を結成。僅か一年で解散したそのバンドは翌年にリチャード・ロイド(Gt.)を加え、テレヴィジョンとして再出発を果たしました。

活動から2年後の75年にヘルが脱退。後任に元BLONDIEのフレッド・スミスをベースに迎え、新たに結束を固めた4人は遂にその2年後の77年に待望のデビューアルバムにして歴史的名盤となった『マーキー・ムーン』を発表。

ツインギターが奏でるグルーブ感溢れるロックサウンドにしゃがれた深みあるヴァーレインの歌声が絡み、あの独特なイカしたサウンドが形成されました。

その翌年、2ndアルバムとなる『アドヴェンチャー』を発表。それがまさかの酷評を呼び、その年に解散を表明。それから14年の歳月を経て、心機一転をはかったバンドは満を持してその年にセルフタイトルの3rdアルバム『テレヴィジョン』を発表。そこからバンドの第二章が始まるかと思われた矢先の翌年、再びバンドは活動休止を表明。まさかの短期間で終わった再結成は物議を醸し出し、ある意味バンドのカリスマ性を増した事柄となりました。

以後、2001年に再々結成を果たし、現在に至りますがアルバムリリースはライブアルバムを除き、92年の3枚目から制作されていない状況。そのマイペースぶりは一貫してこのバンドらしさが象徴したものであります。

2007年にオリジナルメンバーのロイドが脱退するなど、悲しいニュースもありましたが新メンバーを迎え、活動を継続しながら度々日本の地を踏んでいる。

[バンドの中心トム・ヴァーレイン]

やはりバンドにとって欠かせないのが中心人物であるヴァーレイン。痩せ型の体系とは裏腹な官能的な渋い歌声と飄々としたギタープレイ、そして何より特徴なのが”ネックライン”。その長い首は元交際相手のパティ・スミスを虜にしたほどの美しい首として評されました。

パティ・スミスとは書店でのバイトで出会い、意気投合し、一時交際していました。彼らを結びつけお互いのスキルとなったが詩集であります。

もともと詩集に興味のあったヴァーレインは、フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌ(英語読みでヴァーレイン)からステージネームを拝借。それは、ボブ・ディランが詩人ディラン・トーマスからとったことに端を発します。

その影響からか歌詞にも詩的な要素が盛り込まれ文学的で知的な印象を与え、バンドイメージもそうしてインテリジェンスな要素で築きました。

[アートへの追求]

そのこだわりは顕著に表れ、『マーキー・ムーン』のアルバムジャケットの写真はゲイカルチャーを切り取った世界的有名な写真家ロバート・メイプルソープが手掛け、アルバムを統括してクリエイティブなイメージへと昇華しました。もともとロバートとパティが美術学校在学中に共同生活を送っていた中で知り合い、テレヴィジョンへと繋がり、最高のコラボレーションが実現され、後世にも残すべく一枚として歴史にその名を残しました。

[リチャード・ヘルの活躍]

バンドは後に音楽界に名を残すこととなったリチャード・ヘルを世に送り出しました。彼もまた高校時代にヴァーレインと出会い、バンドに参加するもヴァーレインとの意見の食い違いからすぐに脱退する経緯となりました。

脱退後、NEW YORK DOLLSを脱退したジョニー・サンダース、ジェリー・ノーランらと共にHEARTBREAKERS(ハートブレイカーズ)を結成。しかし、これまた意見の食い違いからすぐにバンドを脱退。その後、自身でRICHARD HELL AND THE VOIDOIDS(リチャード・ヘル&ヴォイドイズ)を結成し活躍を果たしました。それ以降は音楽活動だけにとどまらず、ポエトリー・リーディングや俳優業までこなしマルチな活躍ぶりで活動を行なっています。

[まとめ]

パンク・ロック全盛期の時代に、異色のバンドとしてTALKING HEADSと肩を並べるインテリパンクのマインドで音楽ファンだけでなく、文化系の人々にも支持されるなど新境地を開拓したレジェンドバンドとして謳われています。いまでも鋭く熱を帯びるカリスマ性は尽きる事なく燃え続けています。こんな時代だからこそ再評価すべきバンドの一つであります。内から秘める感性で表現したテレヴィジョンはこれからも影響を与え続けることでしょう。

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