ストリートスナップの始祖と言われた伝説的存在「ビルカニンガム」に2年間密着したドキュメンタリー映画
「ファッションは鎧なんだ。日々を生き抜く為の。
手離せば文明を捨てたも同然だ。僕はそう思う。」
ビルは2016年87歳で亡くなる晩年まで50年以上に渡りニューヨークの街角を自転車に乗り、ニューヨーク・タイムズ紙の名物コラム「On the Street」を担当し常にストリートを撮り続けた生きる伝説だった人物です。
ハーバード大学を中退後、広告業界へ後に「William J.」というブランド名でレディースの帽子デザイナーとしてファッションの世界に入りカメラを持ち街へ繰り出しました。
出典:STAR SANDS/DOMA
有名人を撮影する事には興味が無く、招待されるパーティーで写真を撮る際には中立性を保つ為、会場の人からどれだけ勧められても水一杯口にしない。
またファッション業界でも著名で各国のファッション・ウィークコレクションでも名物カメラマンとして顔パスで通される程の人物でありながら、彼の私生活は謎に包まれており、監督のリチャード・プレスが制作交渉に約8年かかったというほど気難しい性格。
しかしファッションをこよなく愛し常に笑顔を絶やさず、ニューヨークの街角の人達にも愛されていました。
そして少年のようにキラキラした眼差しをしたかと思えば、獲物を狩る「狩人」のような恐ろしい早さでシャッターを切る。雨の日も風の日も。
「最高のファッション・ショーは常にストリートにある」そう言って。
出典:spur.hpplus.jp
亡くなった際には名前を冠したコーナーがニューヨークで設置されたり、コレクションのカメラマン達がビルのトレードマークのブルージャケットを着て追悼を表すなど、多くの人達、そしてファッションに愛されたビル。
出典:ellegirl.jp
ビルが亡くなったのち家族により発見された原稿を一冊にまとめた 自叙伝「Fashion Climbing」
も発行され後世のカメラマン、ファッション関係者にも影響を与え続けています。
本作を通じて感じるのは、ファッションに対する姿勢や何かに好奇心を持ち続ける楽しさであり、ビルの生き方そのものが
魅力的なのでファッションに興味が無い方でもオススメです。
現在も全世界に猛威を振るっている新型コロナウイルスにより、様々な業界が打撃を受けておりファッション業界も例外無くこれまでの業界の在り方に変革の時期を迎えていますが、こういう時だからこそファッションという文化が必要だと私は思います。
Netflixでも視聴可能となっていますので、是非一度ご覧になってファッションが持つ素晴らしい文化を感じとって見てはいかがでしょうか。