TOP SIDE CORE《new land》2024 © SIDE CORE

個人がいかに都市や公共空間のなかでメッセージを発するかという問いのもと、ストリートカルチャーの思想や歴史などを参照し制作。ときに他ジャンルの表現者を交えたプロジェクトとして、 都市の死角や隙間となる場所で多彩な作品を展開するアートチーム『SIDE CORE』
新進気鋭のアーティストをキュレーションし続けている金沢21世紀美術館にてSIDE COREの展覧会「Living road, Living space(生きている道、生きるための場所)」が開催中です。
多様な価値観が交差する道としての展覧会

photo:KIOKU Keizo

© SIDE CORE
Courtesy of Oku-Noto Triennale 2023
photo: Kichiro Okamura

© SIDE CORE

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SIDE COREはこれまで東京を活動の舞台としながら、日本各地でもプロジェクトを展開してきました。そうした実践の背景には、2011年の東日本大震災を契機に実感した「都市はあらゆる側面で他の地域に依存して成り立っている」という気づきがあります。彼らはストリートカルチャーを「都市の公共空間における表現」にとどめるのではなく、「道=異なる場所や価値観を媒介するもの」として再定義してきました。つまり、ストリートカルチャーを、都市の路上に閉じた表現ではなく、地域と地域をつなぎ、移動や文化の連鎖反応に基づく表現運動として捉え直すことを試みています。
本展は「道路」や「移動」という視点から、「異なる場所をつなぐ表現」をテーマとした展覧会で、「道や移動」をコンセプトにした作品展示に加え展覧会ゾーンに期間限定で開設される無料のスペースなどを通して、美術館という空間に「別の道」を開いていきます。さらにゲストアーティストを招聘して、スケートボードやグラフィティ、音楽イベントといったストリートカルチャーの表現を通して、制度に拠らない生きる術を日常のなかに編み出し、それをグローバルなコミュニティで共有していく表現運動にフォーカスを当てています。さまざまな価値観や生き方が交差する場となることで、美術館の新たな表現の可能性を提案する展覧会となっています。
壁画、スケートパーク、音楽イベントなど、さまざまな展示・企画を展開

photo :Yoshiro Higai

© Stephen ESPO Powers
photo:Matthew Kuborn

SIDE COREに加えて、プロスケーターであり、映像作家としても活躍する森田貴宏、グラフィティクルーIRKのメンバーとして90年代のニューヨークで活躍したスティーブン・ESPO・パワーズ、美術館を「展示するだけの場所」ではなく、「何かが生まれる場所」として捉え直すプロジェクト「PRESEN TATION」のディレクター細野晃太朗がゲストアーティストとして出展します。スケートボードやグラフィティ、音楽イベントといったさまざまな表現を展示・企画するほか、展覧会ゾーンに無料のスペースを設け、美術館を「より開かれた場所」として提案しています。
美術館に“道”がひらく:公共空間をアップデートする試み
金沢21世紀美術館というユニークな建築空間に、新たな“道”が現れます。交流ゾーンにはスティーブン・ESPO・パワーズによる大規模な壁面作品が登場し、建物に内包された円とキューブの構造美を鮮やかに際立たせます。円形の展示室14にはプロスケーター森田貴宏による本格的なスケートパークが出現し、指定された時間には一般スケーターにもパークを開放し、都市における広場のような空間へと変貌します。さらに、本展の会期中限定で「スイミング・プール(地上部)」と展示室14を無料開放し、館内を東西に貫く特別な「抜け道/バイパス」を出現させます。街に根ざしたカルチャーが美術館と交わり、共有され、再び街へとひらかれていくその循環を体感できることでしょう。
[展示室14 スケーター専用利用についてのお願い]
展示室14は、美術館閉場前の1時間はスケーター専用の時間となります。
火曜日〜木曜日および日曜日は 17:00〜18:00、金曜日・土曜日は 19:00〜20:00 にご利用いただけます。(上記時間帯は、館内の案内にしたがってご利用ください。)
Living Space:生きるための“場所”を見つける

SIDE COREが活動を通じて見出したもうひとつのキーワードが「Living Space(生きるための空間)」です。制度や役割を超え、生存のための「微小な回路」として立ち上がる空間。それは非計画的で流動的で脆弱でもありますが、だからこそ「今を生きる」ためのリアリティを示します。
この章では、SIDE COREと共に活動してきた実践者・細野晃太朗によるインスタレーションを中心に、多様な“Living Space”の実践を紹介します。美術館が生き生きとするとき、そこにどのような出会いが生まれるのかを体感できます。
まるでギャラリーのように作られたこのスペースで展示しているインスタレーションやグラフィティアート、陶器や音響セットは実際に触れ、購入することができます。
UNDER CONSTRUCTION:SIDE COREの軌跡をたどる

サイズ可変
4チャンネルビデオ、工事用照明器具、単管、チェーンほか
© SIDE CORE
photo: KIOKU Keizo

展示風景
photo:OHNO RYUSUKE

© SIDE CORE
展示室7・8では、SIDE COREの活動の軌跡を、過去作品やプロジェクトの再編集を通じて一挙に紹介します。キーワードは「UNDER CONSTRUCTION(工事中)」。震災やパンデミックなど社会が直面してきたカタストロフに呼応し、都市や制度の隙間で展開してきたSIDE COREの実践が改めて浮かび上がります。都市が壊され、再生する中で、人はどのように表現を続けられるのか。その問いが、これらの空間には静かに響いています。
ストリートアートを現代アートと絡め、グラフィティやスケートパーク、音楽イベントなど幅広いアートのカルチャーをミックスし、新たな形のアートを模索するSIDE CORE。是非チェックしてください。

また細野晃太朗がディレクションする「PRESEN TATION」が本展と連動して行われます。
11/15(土)には「PRESEN TATION – VOL.2 “Somewhere in Tokyo”」が開催予定です。
VOL.2のプレゼンターはSomewhere in Tokyo (以下SiT)。
SiTは3名のクリエイターを中心に運営されるスペース・ディレクションチームです。
パンデミック以降、彼らは外の空間に自分達のスペースの延長上にあるイベントや空間を拡張し、都市型のフリーパーティーやシークレットライブ、街をつかった回遊型アートウィークなどを行い活動しています。
そんなSiTが召集する出演者はミュージシャンであり映像ディレクターとしても高い評価を得る・VIDEOTAPEMUSIC、国内外でカルト的人気を誇る音楽家・日野浩志郎によるソロプロジェクト・YPY。
さらにイタリア・フィレンツェの革新的スピーカーブランド・K-Arrayのサウンドシステムを導入し、Somewhere in Tokyoとも親交の深いサウンドエンジニア・Grayfieldが空間を構成します。
また、日本橋兜町のナチュラルワイン専門店・human natureがオフィシャルバーとして参加し、特別な一夜を彩ります。
当店では「Living road, Living space(生きている道、生きるための場所)」のフライヤーを配布しておりますので、気になった方は是非お手に取ってみてください。







