“破壊と創造の歴史”
1989年のパリコレクションにていまをときめくブランドがデビューを果たした。
ベルギー・アントワープ出身のデザイナー「MARTIN MARGIELA」(マルタン・マルジェラ)である。
79年に名門アントワープ王立芸術学校を卒業し、80年代にパリコレデビューを果たした川久保玲のCOMME des GARCONS、そして84年のJean-Paul GAULTIERのショーにて強い影響を受け、ゴルチエの門を叩きデザインアシスタントにまで登り詰める功績を果たした。
87年に独立し、翌年に自身の名を冠したブランド『MAISON MARTIN MARGIELA』(メゾン・マルタン・マルジェラ)を立ち上げた。97年から03年まで自身のブランドと並行にHERMESのデザイナーも兼任していた。
まず、ブランドを立ち上げるに至り、マルジェラは考えた。服とは何か?そこに見出される価値とは何か??
…彼は破壊することから始めた。
そのマインドが投影されたのがコレクションNo. 0 [ARTISANALE](アーティザナル)である。
ゴミの様に扱われていた生地や既存の服などを解体し、そこからまた新たに服を作り上げる手仕事による一点物のコレクション。これこそがブランドの真骨頂なのだ。破壊から再生、そして創造する。それがデザイナーの価値観である。
そこには時間を要する。時間こそが価値を生み出す。時間をかけ製作されたアイテムをより時間をかけて育てあげる。
このブランドには無駄なデザインが無く、極めてシンプルである。最終のデザインは消費者が仕上げる。それぞれの着方によって仕上がりが異なる。
そうしてブランドが再生するものを消費者が創造するといった循環を生み出した。
それ故、アイテムの中に風合いを持たせたデザインが多く見られる。着用することによって剥がれやひび割れ、経年劣化など、その時々の出来具合を楽しむかの様に。
反モードを掲げるマルジェラらしい見せ方である。あたかもデニムの様な感覚で。綺麗な既製服が溢れた中に抱いた疑問、つまり既成概念を壊す。それがマルジェラの服に対する想いなのかもしれない。
残念ながら、デザイナーを退任した現在のコレクションからはそういった想いが薄れ、一般的に流通される様になってしまったのは落胆である。
しかし、その存在は忘れられることなく、むしろ年数が経つにつれ神格化している。これから先に産まれる新世代のデザイナーにお手本となるように。
そんなマルジェラの魅力が詰まった、当時のアイテムも絶賛販売中ですので、どうぞお見逃しなく。
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