ROCK LEGENDS

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【ピストルズの登場!そして、新しいピストルズと呼ばれた者】

70年代のイギリスはとりわけ経済の成長が低迷した時期であり、先の見えない恐怖に国民達は意気消沈していた。

その状況下に置かれた中で、ある若者達が立ち上がり、それを打破すべくエネルギーに満ち溢れた反骨精神で社会に牙を剥いた。

SEX PISTOLS(セックス・ピストルズ)の登場である。

70年代半ば、マルコム・マクラーレンが経営するロンドンのキングス・ロードにあるショップ「SEX」(現Worlds End)にたむろしていた不良少年達。そんな彼らに目を付けたマルコムのアイデアでバンドは結成された。

数多くの若者達からオーディションで選ばれたバンドのヴォーカリスト、ジョニー・ロットンは、後に加入する故シド・ヴィシャスと共にバンドの顔役となった。

シドの加入後、スター性を増した彼らは一気に頂点へと登り詰め、社会的な影響を持つバンドとして歴史の一ページにその名を残した。

国が権力を握っていた当時、社会に唾をはくなどもってのほかで誰もやりたがらなかった。しかし、彼らはその不満を一ミリも隠すことなくぶちまけたのである。

エリザベス女王在位25周年祝典の日には、ゲリラライブを敢行、それを皮肉るデモを起こし逮捕された。それ以外にも数々のスキャンダルで話題となった彼らは国からもマークされるほど社会現象を巻き起こした。

僅か結成3年で解散に至ったが、その影響は計り知れず、全世界へと波及をもたらした。

時代は80年代に入り、鉄の女と呼ばれたマーガレット・サッチャーによる政権でイギリスは徐々に経済回復へと向かった。70年代後半のピストルズを代表するパンクシーンは、進化を遂げポストパンク/ニューウェイヴというジャンルに移行していった。

80年代半ば、イギリスの北西に位置するスコットランドでジムとウィリアムという二人の兄弟によってあるバンドが結成された。

それは後にノイズポップと呼ばれるジャンルを築いたTHE JESUS AND MARY CHAIN(ジーザス・アンド・メリーチェイン)である。

かの有名なプライマル・スクリームのボビー・ギレスビーが一時期在籍していたことでも知られる。

彼らはデビュー間もない頃、こういった謳い文句で紹介されていた。

「ピストルズ以来の衝撃」、「新しいピストルズ」などといった、ピストルズに比較されるほど注目視されていた。音楽面では全くと言っていいほど似ていないのだが、彼らのパフォーマンスやメディアに対する姿勢がピストルズにひけを取らないほど話題をさらった。

ある時は観客に背を向けたまま20分ほどで演奏を切り上げ、観客との対話を遮断し、暴動を巻き起こした。またある時には、そういった事が話題となり大学で行なわれたライブで動員数を遥かに超えるオーディエンスが集まり、外にも溢れかえった観客をよそに演奏時間にも登場せず。やっと登場したかと思えば、また20分ほどで演奏を切り上げるなど暴挙に打って出た。その様子は言う間でもなく、警察が動員されるほどの騒ぎとなり、彼らの数ある悪名高いライブの一つに刻み込まれた。

そういった話題性でバンドの名はたちまち世界に知れ渡り、デビューアルバム『サイコキャンディー(Psychocandy)』は大ヒットを叩き出し、現在でも売れ続けている彼らを代表する一枚となった。

時代は違えど、互いに物議を醸し出し、反骨心を露にフラストレーションをまき散らした。しかし、彼らは多くの人々に影響を与え、ミュージックというジャンルを通し、ファッション、そして芸術的な感覚までをも研ぎ澄まさせた。

彼らのようにその時、その一瞬に何が起こるか分からないスリリングさは今の時代には皆無である。だからこそいまでも彼らは神格化され様々な分野で持て栄されている。メインストリームにはない殺伐とした雰囲気が彼らを焚き付け、起爆剤として世の中に投下したのである。

果たして、現代において彼らのようなマインドを保つ強者が出てくるのか興味深いところである。パンクとロックを紡いだ彼らを知らなければこの先の姿は見えて来ない。