【知らない人はいない!?全世界に影響を与えた伝説の作家】後編

前回の記事で紹介したビートニク作家のウィリアム・S・バロウズ。(そちらの記事はコチラから。)

彼が成功を掴むきっかけとなった著作『裸のランチ』は現代においても評価は高く、文学界の頂点を極めた人物として名高く歴史にその名が刻み込まれています。

後編となる今回はバロウズの知られざるエピソードを踏まえ、紐解いて行きたいと思います。

[逃亡中のメキシコで妻を射殺!?]

前編で触れた彼の麻薬癖はあまりにもひどく、アメリカで逮捕され、半ば国外追放という形でメキシコへと移住(逃亡??)していた最中、彼は内縁の妻を自らの手によって射殺してしまいました。それは伝説の英雄とされているウィリアム・テルごっこにおいての出来事でした。その英雄は息子の頭の上に置かれたリンゴを矢で見事射抜いた逸話になぞらえ、妻の頭の上にりんごを置き、それを銃で射抜こうとした際に誤って頭を打ち抜いてしまいました。

事故なのかわざとなのか未だ真相は語られることなく不慮の事故となりこの事件は闇に葬られました。ドラッグと酒に溺れていた時期だっただけに常にスリリングなことを求めていたのでしょう。この事件の背景には様々な経緯があったのであります。その物語はコートニー・ラヴが主演を務めた2000年公開の映画『バロウズの妻』で描かれているので興味ある方はぜひ。

[実は同性愛者でフラれた腹いせが…]

自らの手によって射殺した妻ジョーン・ヴォルマーは実は内縁の妻であり、バロウズにはもう一人恋人がいました。それはリーと言う若い男性で、実は彼は同性愛者でありました。その逸話として昔、同性愛の男性にフラれた腹いせに自らの小指を切り落とし封筒に詰めて送ったなど、そんな奇行なエピソードも様々あり、作家としてだけではなくプライベートも話題となりました。それがバロウズという人物像を紐解くにあたり重要な事柄であります。

何故?ジャンキーで奇行癖が凄いバロウズがそんなに凄いのでしょうか??
彼の作品は多くの人達には到底理解出来ないものです。だがそれでも彼の作品は高い評価を受けています。そこには彼の生き方に人気の秘密があったのではないかと思います。

[映画出演で新たな境地へ]

麻薬中毒者で殺人を犯した身の上ながらも、様々な映画にオファーを受け出演を果たしました。ガス・ヴァン・サントが描いたドラッグムービー『ドラッグ・ストア・カウボーイ』での神父役はまさにハマり役であります。

[カート・コバーン&YMOと共演]

バロウズの信者であったカート・コバーンは熱烈なアピールにより共演を果たしました。NIRVANAの”Heart Shaped Box”のミュージッククリップでの出演オファーは断られたものの、カートが弾く”きよしこの夜”をバックにバロウズが詩を朗読する「The Priest They Called Him」は遂に念願叶ったものとなりました。

それとは逆にバロウズは坂本龍一氏のファンであり、坂本氏に直々にファックスで「君の音楽が好きだ」と送り、逆オファー的な形でそれを受け取りました。

その想いは実現を果たし、YMOのアルバム『テクノドン』において”Be A Superman”と”I TRE MERLI”の二曲の中で朗読参加を果たしました。

そんな大物アーティストからも大いにリスペクトされるバロウズはただならぬ魅力を放っていたに違いないでしょう。

[ありのままに生きた自由人]

ジャンキーで罪深きその男は誰よりも自由でありました。作家として旅人として時に俳優として自由に生きてきました。誰にも左右することなく、迷走の時期を過ごすもそれも自分の生き方として受け入れ、孤高のスタイルを一貫しました。その自由な生き方を自らをもって、ビートニクの本質を伝えました。抑制された社会に生きる人々に糧を与えるために、もがきながらも。

彼の名言として「どんなことをしても、生きるべきなのだ」と残した言葉があります。

生きることに誰よりも貪欲であった彼はより人間らしさが滲み出ていたのかも知れません。どんな人間でも持っている善と悪の部分を生々しいほどまでに包み隠さず表現出来る人格者として。

1997年8月2日、83歳でこの世を去ったバロウズはビートニクの誰よりも長い人生を送りました。没後制作された映画『ビートニク』(99年)は解体新書としてビートニクの活動を紐解く貴重なフィルムとなっているので一見の価値はあるでしょう。

[まとめ]

最後に、何かを成し遂げた人には共通したものがあります。そこには強い信念があり、それを貫く努力が出来るほど熱心に取り組む姿勢が重要です。
ビートニク達の自由を求めたスタイルの中には、血と汗が滲むほどの努力がありました。その葛藤と苦悩を乗り越えた末の評価が神格化といった結果を見出したのであります。

10年後、50年後、100年先まで慕われて行くことでしょう。

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