ロックに生きた伝説の人物”ジョー・ストラマー”の軌跡 (後編)

Sex Pistols、The Damnedと並びロンドン3大パンクとして評されている「THE CLASH」のヴォーカル/ギターとして活躍した人物”ジョー・ストラマー”

前回は、生い立ちからバンドでの活動を紐解いた。後編となる今回はその後に迫る。前編の詳細はコチラから。

[バンド解散後]

1985年に自らバンド解散を表明。しかし、自由の身となった彼は音楽に対する意欲を再び取り戻し、バンドを解雇されたミックと共に楽曲の製作活動に入った。

Sex Pistolsのベーシストであった伝説的カリスマのシド・ヴィシャスの伝記映画「シド・アンド・ナンシー」に楽曲を提供。また、ミックの結成したバンドBig Audio Dynamiteの2ndアルバム「No. 10, Upping St.」でも参加するなど積極的に活動していた。

その後もシド・アンド・ナンシーで気に入られたのか、アレックス・コックス監督の作品「ウォーカー」や「ストレイト・トゥー・ヘル」などの映画に出演&楽曲提供などを皮切りに度々、映画作品に出演を果たし俳優としても才能を遺憾無く発揮した。

90年代に入り、一時期アイリッシュ・パンク(アイルランドの伝統的音楽とパンクを融合したジャンル)の元祖The Poguesのアルバムプロデュースをきっかけにメンバーとしても加入したことは逸話となっている。

[満を持してプロジェクトを発足!]

それまで音楽面では脇役として鳴りを潜めていたジョーだが、90年代半ば遂に表舞台へとカムバック。

彼はThe Clashでやり遂げられなかったこと、そして、そこで培った感性を基にバンド「The Mescaleros」(ザ・メスカレロス)を結成。短編映画のサウンドトラックの製作を軸に結成したバンドではあるがRancidのティムのレーベルHellcat Recordsと契約を果たし。結果3枚のアルバムをリリースする運びとなった。

[固い絆が紡いだ奇跡]

ジョーはザ・メスカレロスで順風満帆な音楽生活を送っていた。しかし、彼は元バンドメンバーとして、そして友人として永きを共にしたミックのことを常に気にかけていた。それはもちろんミックにしても同じことである。

その二人の想いが遂に叶う時が来た。2002年11月15日の慈善ライブにてミックと共にステージに上がり、約20年振りとなる共演でクラッシュの名曲を演奏して観客を湧かせたのである。

…しかし、それが最後のはなむけとなった。

[突然の死]

共演のライブから一ヶ月あまりが過ぎた12月22日。それは突然の出来事であった。先天性の心臓疾患による心臓発作で自宅で倒れ、そのまま息を引き取り帰らぬ人となった。

後日、メンバーの談によるとオリジナルメンバーでの再結成もサプライズとして考案されていたようだが、惜しくもそれは叶わなかった。翌年、その想いを胸に秘めThe Clashはロックの殿堂入りを果たし、天国のジョーに捧げた。

[知られざる真実]

ジョー・ストラマーはファンをとても大事にしていた。

ライブ終了後、彼の元に歩みよるファン一人一人に対し、サインやコミュニケーションに応じ、どれだけ時間を費やそうとも全員が満足するまでその場を離れることはなかった。

クラッシュが全盛期の当時、イギリスの地下鉄で日本人の若手カメラマンがジョーに出くわした。プライベートでの時間ではあったが、またとない千載一遇のチャンスに撮影許可を求めたところ快く承諾してくれた。そのまま彼が降りる駅まで同乗しながら撮影した。すでに大スターとなっていた時期だが、地下鉄を利用するなど一般庶民と同じライフスタイルで彼の謙虚さが滲み出たものである。

日本に来日した時のこと、ファンから贈られたプレゼントが大量であったため荷物が重量オーバーとなったが、捨てることは断じてせず、多額の運賃を支払い、次の目的地ニュージーランドまで持って行った。

彼は社会貢献に熱心に取り組んでいた。
地球温暖化による環境問題に対する取り組みや消防士の為の慈善ライブなど数多にわたり実行していた。その姿勢にU2のボノは強く影響を受けたと言う。

生前、その様な活動を行なっていたことから、彼の死後に遺族はミュージシャンを目指すこれからの若者を支援する慈善団体「Strummerville」を彼の友人らと共に設立した。

[ジョー・ストラマーが残した名言]

「トライすらできないヤツが、やっている人間に何を言えるって言うんだ?」

「やるしかないのに、そんな簡単なことのわからない人間が多すぎる」

「ひとつ言っておくが 人は何でも変えられる 世界中の何でもだ」

「誰よりも高く飛びたいなら 誰よりも低く身構えるのさ」

「“月に手をのばせ”っていうのが俺の信条なんだ。たとえ届かなくてもね。そのほうがよっぽどマシだよ。」

[友人達に贈った最後のメッセージ]

亡くなった翌日、友人達のもとに一枚のメッセージカードが届いた。
それはクリスマスカードで彼が亡くなる前に書いたものであった。

「“友がいて”こそ人生。俺はそう思う。」

彼が最も大事にする友のこと想い宛てた最後のメッセージであった。

多くの人に愛され、そして多くの人を愛したジョー・ストラマーは偉大な人物としていまもなお語り継がれる。これからミュージシャンを目指す若者にとって模範となっていくことであろう。

ジョー・ストラマーはいつまでも我々の心の中で生き続ける。

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